培養室のご紹介
lab
培養室
培養室では、患者様に安心・安全な医療を提供するために様々な取り組みを実施しています。
凍結
当院で採卵を行う多くの患者様は、受精卵の凍結を行います。
その際の取り組みとしまして、他の患者様と混ざらないように、患者様一人一人に対しまして周期ごとに受精卵の管理を徹底しています。
- デバイスの色分け
受精卵をのせる凍結デバイスも4種類の色分けを行っています。識別することで、融解時にも間違いのない融解胚移植を実施しています。
- 凍結タンク
- 凍結しました受精卵は液体窒素で満たされた凍結タンクの中で保管します。その凍結タンク内の液体窒素が枯渇することが無いように週2回定期補充をしています。また、凍結タンクは震災等で倒れることが無いように固定をしています。
ダブルチェック
卵子や精子、受精卵を移しかえる際は、ダブルチェックを徹底しています。
教育
胚細胞と精子細胞の操作技術チェックリストを作成し、生殖細胞を扱うための技術が安定したスタッフが臨床に入ります。
バックアップ電源
停電や震災等の有事に備え、非常電源(バックアップ電源)を設置しています。
ガス切替装置
受精卵の培養にはインキュベーターが必要になります。そのインキュベーターにはCO2ガスとN2ガスが供給されており、そのガスが安定供給されるようにガス切替装置が設置されています。
医療安全委員会
毎月1回開催し、培養室含めクリニック全体の医療安全に関わる協議を実施しています。
当院の学会発表
2023年
- 日本遺伝カウンセリング学会
『周産期のQT延長症候群患者に遺伝カウンセリングを実施した一例』
[医師:木田尚子]
- 目的
- QT延長症候群(LQTS)は、QT時間延長とT波変化を特徴とし、ときにTorsade de Pointes(TdP)型の多形性心室頻拍を認め、失神や心臓突然死の原因となる症候群である。現在、保険診療でLQTS1-3型の遺伝学的検査が可能となっている。今回妊娠中の家族性不整脈の患者の遺伝学的検査と遺伝カウンセリングを実施した。
- 症例
- 34歳女性。小児期に水泳中に失神発作あり。以後は重篤な不整脈なく経過。家族歴に、母、母方伯母と母方従姉に不整脈を認める。妊娠34週に、循環器内科を紹介され、遺伝学的検査と遺伝カウンセリングを希望された。来院時心電図ではQT延長はなく、Schwartzスコア5点。
- 方法
- 末梢血ゲノムDNAを抽出して、 LQTSおよび関連疾患9 遺伝子を、Ion GeneStudio S5および循環器疾患パネル(SUCVDv7)を用いて変異解析を行った。
- 結果
- 患者に、KCNQ1 (NM_000218.2:c.773A>C, p.His258Pro)のヘテロ接合体variant を検出した。ClinVarにおいて他の3患者に既報があるrare variantで、ACMG 基準PP1, PP2, PP3, PM5を満たし pathogenic variantと診断した。 妊娠経過は良好で周産期に異常なく、健児を出産された。
- 考察
- LQTSの妊婦では胎児死亡のリスクを伴うため厳重な周産期管理が必要で、可能であれば妊娠前の検査が望まれる。 妊娠中の不整脈イベントの発生率は妊娠前と比較して著変はないが,出産後の重症不整脈の発生率は有意に高く、特にLQT2型では高率とされ、ハイリスク患者においてはβ遮断薬など治療を継続したうえでの妊娠・出産が望ましい。また児ならびに次子再発リスクについて説明し、早期診断・予防の助言を行った。ACMG SF v3.1 listで開示対象となる78遺伝子のうち、37遺伝子が循環器系疾患であり、今後本邦においても情報の蓄積が望まれる。
2024年
- 日本受精着床学会
『採卵・胚移植手技に難渋した子宮腺筋症合併双角子宮の一例』
[医師:木田尚子]
抄録
- 緒言
- 先天性子宮形態異常は胎生8~16週の間におけるミュラー管の癒合不全に由来する。不妊症患者の8%に指摘され、さらに反復流産既往をもつ患者では13.5%とさらに頻度は高くなる。2021年に新しいASRM分類が発表されその診断は経腟超音波、腟鏡診、子宮卵管造影が用いられる。クリニックにおける診療ではしばしば診断や手技困難な症例に遭遇する。今回子宮腺筋症合併双角子宮に対して生殖補助医療を行い継続妊娠に至った一例を報告する。
- 症例
- 36歳、G0、結婚4年で不妊治療を希望しX年1月に来院。経腟超音波で骨盤内に占拠する内部エコー不均一な長径9cmの腫瘤を認め、子宮腺筋症と診断した。経腟超音波では子宮内腔や付属器の正確な確認ができず、縮小効果を期待してX年2月から6月までGnRHアゴニスト療法を5回実施するも増大傾向のため悪性腫瘍を疑い連携施設に紹介となった。MRI検査で双角子宮の左片側がびまん性に腫大した腺筋症との診断であった。X年9月よりX+1年6月にかけて人工授精を6回実施するも妊娠に至らず、生殖補助医療を実施した。経腟超音波で付属器の確認が困難である事より、採卵前に左側子宮摘出を検討したが連携施設との協議の結果、子宮瘻孔形成リスクのために手術はしない方針となった。X+1年9月Short法で調節卵巣刺激を実施した。経腟採卵の手技困難が予測されたため、経腹超音波ガイド下に3個の卵子を採卵し体外受精により初期胚2個および胚盤胞1個を凍結した。X+1年10月に右側子宮に1回目の凍結融解胚移植(初期胚1個)を実施。カテーテル挿入に困難を要しTOWAKO法を検討した。X+1年11月右側子宮に対して金属スタイレットガイドを用いて2回目の胚移植(胚盤胞1個)を実施したところ妊娠に至り、現在継続妊娠中である。
- 考察
- クリニックにおいてで評価困難な子宮形態異常の症例でも連携施設との総合的な評価を行うことで採卵や胚移植の手技困難を予測でき、対処することが可能であった。
- 日本受精着床学会
『胚盤胞のグレードと出生体重および胎盤重量に関する検討』PDF資料 - せとうちART /SRHR研究会
『当院におけるHiGROW OVIT PlusとONE STEP Mediumを用いた培養成績の後方視的検討』PDF資料
2026年
- せとうちART /SRHR研究会
『年間採卵300件の施設における胚培養士育成と男性の育児休業に向けた取り組み』